女性エンジニア問題に思うこと
「女性エンジニア少ない問題」を解決するために、機械学習で男性エンジニアを女性に変換する
https://logmi.jp/294756
最初に、自分は特定の人物・組織を攻撃するため・社会的制裁を受けてほしいと思ってこの記事を書いていません。
燃えてほしいと発言しましたが、言葉選びが雑だったの反省しています。大きく話題になったので、様々な人が意見をネット上に残しています。それを元に、自分が抱いた違和感を整理するために書いています。
自分の感じた違和感
自分が持った違和感はこんな感じです。
- 男性エンジニアは「いいところを見せたい」ために女性エンジニアを欲しているという、事実と異なる発言
- 「いいところを見せたい」は子供など、立場が下の人間に使うで有るように感じる
- 女性は女子トークをするものだという、安直すぎるレッテル張り
- エンジニア女性の立場を奪うための研究と読める (一連の流れの中での女性の立場は不要かもだけど)
- 会社の看板を背負って、技術的なカンファレンスで堂々と発表している・それをネットに載せている
すべてにおいて、主語が大きすぎるように感じ、ジャンルの人間として巻き込むなという感情です。自分個人の話をすると、尊敬するエンジニアに褒められるほうが嬉しいです。
「現実と異なるデマを、雑なラベリングで流布されている」ことについて違和感を覚える人も多いんじゃないか。こんなことを頭の何処かで考えながらTwitterに投稿すると、数百件に及ぶ反応があり、様々な意見を知ることが出来ました。
ネットの反応
https://togetter.com/li/1239625
雑にこんな意見有ったなと言う感じで書き出しています。
- 話の本筋でないところで炎上する意味がわからない
- 身の回りでは女子の有無で男子のやる気が変化する様子は観察できなかった
- おっさんの職場より女性がいるほうがモチベーション上がるのは当然
- 会社に何をしに行っているんだ
- お茶くみの職を募集すれば?
- 技術職に性別を持ち込む必要がない
- 女子トークが出来ないのはストレスでもっと注目してほしい問題
- 女子トークが差別的発言に見える
- 女性に頼らず自分で解決しようとしているので良いのでは
処分がどうかとかは、社員などでしか決定できない事柄だと思うので、どうでもいいし除外しました。
それぞれの人が違った感情を持ち、競合する意見も多いです。
その中でも、気になったのがこの発言でした。数個ここからスレッドが続きます。
Yahoo! Japan engineer reportedly spoke at a conference as "it's cheaper to make male engineers dressed feminine than actually investing in female engineers" to fix the diversity issue and "we use ML to make their speaking voice cute." https://t.co/wJIBFphobq
— Emma Haruka Iwao @ Berlin🇩🇪 (@Yuryu) 2018年6月21日
雑な訳で申し訳ないですが、
この会社はダイバーシティの問題に対して、女性エンジニアに投資するよりも、男性エンジニアに女装+MLを使った音声変換を行ったほうが安く解決できると言っている。”男性エンジニアは女性エンジニアが居ないとモチベーションが上がらない”・”女性は女子トークをしたい”という発言は性差別だ。日本国内の技術カンファレンスは行動規範すら整備されておらず差別的発言が飛び交うのが悲しい。誰かと仕事をしてモチベーションが上がるのは良い。自分自身の模範・信条・好み・愛から成るものかもしれない。ただし、女性をモノ扱いにするのは良くない。
発表者の組織・カンファレンスを運営している組織にまで話が広まっています。看板を背負うということですね。
自分が無知でダイバーシティをよく理解しなかったので調べました。
ダイバーシティ・マネジメント
「多様性」を競争優位の源泉として生かすために文化や制度、プログラムプラクティスなどの組織全体を変革しようとするマネジメントアプローチのことである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ダイバーシティ・マネジメント
多様性が求められる理由はこの資料を読んでわかったつもりです。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/diversitykyousousenryaku.pdf
平たく言うと、
- 日本人男性だけじゃ足りなくなった
- 日本人男性だけの役員だと、思想が偏ったり同調圧力がかかって、合理的な意思決定が出来ない場合がある
- 今後投資を受ける上で、国際社会の流れに追いついているかが重要な指標になり得る
- 文化の多様性を持つチームは、単一の文化を持つチームと比べて、高いイノベーションを生む
- 国際社会において、多少の効率を犠牲にしても、得れる価値が有るというのが、一定の共通認識になってきている
- 専門知識を持つチームにおいて、多様な観点・解釈・経験則・予測モデルが、イノベーションの創出に作用する
発表者にとって件の発言は本意ではなく、発表前の少し強引なアイスブレイクだったかもしれないです。
だけど、こういった考えたを持った人が一連の流れを見ると、差別的な発言を繰り返し、時代を逆行しているように見えても自然だと感じます。
余談ですが、Googleですら技術職の女性比率は2割ほどなんですね。 https://diversity.google/annual-report/
回避するためにやれたこと
このネタがなぜ炎上するかピンときていない人も多い様子です。
「個人の意見も言えなくなったのか」「誰にも迷惑は掛けていない」などという声も有りましたが、個人と言い難いパブリックな場で発言し、差別的思想を海の向こうにまで振りまいているとなると話は違ってくると感じます。
また、当事者は何気ないつもりでも、マイノリティ側の人間がひどく傷ついたり拒否反応を起こすことは自然です。
- 主語が指す範囲を狭める
- 例えば「俺は女になりたい」「俺は女性に褒められるとやる気が出る だから上司を女にした」は個人の思想であって誰も止めることは出来ない
- 「同じチームの同僚に聞いたら女子トークやりにくいのでストレスがたまっていると言っていた」チームの中での改善の話なので、応援できる
- 行動規範を整備し、カンファレンスでの発表前に精査する
- 記事を載せる際に、多様性を持った集団がレビューを行う
サラッと書いているけど、こういったマネジメントを社会全体で行うことは非常に難しいと思います。
自分も「モチベーション上げるために女性がほしいって昭和の話かよ」と思いましたが、昭和世代の方々からすると迷惑なレッテルなわけで、差別的思想になるなと思い反省です。
こういったことを考えるのは、性的なマジョリティ・差別されることを問題に感じない人にとっては、余計なコストになるかもしれないです。そのコストを乗り越えてでも得るものが有ると自分は思います。様々な考えを持つ人がお互いを尊重しあって、より良い方向に社会が進むと良いと思います。